いつか優しいため息のように 3 -------------------------------------------------------------------------- * 「お待たせしやした…って、あれ?」 ガチャッと小さな会議室の扉を開いてきょろきょろする男に、後ろからついて来ていた男が歩みを止めた。 「どうした」 「いや、少し前にここにお通ししたはずなんですがね」 あれれケーキもないや、持って帰っちまったんですかね? 顎に手を当てて考える男を押しのけて、コートを羽織ったままの男が部屋に入った。 ぐるりと小さな応接室を見回し、男はふと床に目を留めた。 ソファの脇に屈みこんで、何かを拾い上げる。 「おい…持ってきたヤツは、どんなヤツだった。……男、か」 「へい。コックコート着た金髪の…」 言うなり屈んでいたコート姿の男がガバッと立ち上がった。 「ジョニー、これを保管しておけ」 険しい顔の男が、ハンカチに乗ったものを手渡す。 「へ?へい」 咄嗟に両手で預かったまま、ジョニーはその鬼気迫る顔に何事かと背筋を正した。 「それと例の場所へ行く。絞り込めてはいるんだろう?」 「!…了解しやした!でもどちらの方に……」 「ヨサクに連絡して、会場から消えた奴を確認しろ。そっちへ向かう」 突然の展開にジョニーは慌てて手元の物を壊れないようにそっとハンカチで包むと、ポケットから携帯を取り出した。 短縮で仕事の相方の番号をコールしながら横目でチラリと見れば、男からはまるでこの世の全てを斬り捨てるような殺気がなみなみと全身から溢れ出ていて、思わずひっと青くなる。 「……ブッ殺してやる」 凶悪な顔で虚空を睨みながら物騒な台詞を吐く男に、ジョニーはビリビリと肌が震えるのを感じながら感動していた。 (やっぱり本気の姿は、痺れるくらいカッコいいぜ…!) * 扉を開けて入ってきた男の方に、サンジは見えない顔を向けた。 「ゾ……ロ…?」 上ずって掠れた声が出た。それでも紡いだその名前に、相手は薄く笑ったようだ。 「おい、誰だ名前を漏らしたのは?」 「……ッ!!」 ゆるりと響いたその声に、サンジは身を硬くした。 「すいやせん、うっかり」 元から居た二人の、全然悪びれていない軽い声が続く。 サンジは見えない視界の中、声のする方を睨みつけた。 「誰だ…てめぇ」 「君は知らなくてもいい」 低い男の声に、ゾワッと鳥肌が立つ。 (違う――ゾロじゃ、ねぇ……!) 全然違う声、話し方。低いけれど、どこか狡猾さを含む甘い声だ。 一体何が起こっている? 何の目的でゾロの名を…? サンジは全身の気配を集中させ、身構えた。動かぬ体で、じっと相手を見据える。 「てめぇは……誰だ」 ふと、ベッドの傍にいる男の気配が変わった。 「なるほど、君は……ゾロを知っているね?」 「……」 ぎゅ、と口を閉ざしたサンジを見下ろして男が笑った。 「それもまぁ、いいだろう。…少々目的が変わるが、手段は同じ事だ」 ぎし、と足元のスプリングが軋んで男が乗り上げてくるのがわかった。 「精々ゾロと知り合いだった事を悔やむといい」 そして男の手がサンジの襟元に掛かった。 「な、に……―」 ギシッと安いスプリングが軋む。 白いコックスーツの前を開かれ、中に来ていたシャツも胸元まで捲り上げられた状態で、サンジは薄い胸を喘がせた。 男の手が、いやらしい動きで肌の上を這い回っている。 ネトリと手の平についた何かを塗りこめながら動くその指先にゾワゾワと鳥肌が立つのに、何故か勝手に体が快感を拾い始めて次第に呼吸が荒くなってくる。 目が見えない分感覚は敏感で、サンジはどうにか男の手から逃れようと体を捻った。 「なにしやが……ッ」 頭の芯がくらくらする。 いざとなればロープくらい引きちぎってやろうかと思っていたのに、手足は痺れたように重く、益々自由を失っていくようだ。 なのにその分脳内に直接響くのは、男の手からもたらされる刺激。 全身がじわじわと熱を帯び、思考が散って行く。感覚だけが全てを支配していく。 (おか…しい……) けれどそう気づいた頃にはもう遅かった。 「ぁ……ッ!」 きゅ、と胸の尖りを指で押しつぶされれば、艶めいた声が勝手に唇から漏れる。 「まだ上だけなのに、すごいっすね」 唇を噛んで堪えるサンジの上から、誰かが喉を鳴らした。 見られている。その事実に、かぁっと肌に血が集まるのがわかった。 「薬の効きが良い体質のようだが、素質もあるのだろうな」 ぐるり、ぬかるんだ指先で胸の突起の周りをなぞられればビクリと腰が揺れる。 「でも使い方が流石、上手いっす」 「社長、俺こっち、いいっすかね…」 荒い息遣いが腹を掠めたと思ったら、胸を撫でるものとは別の手がサンジのズボンの前たてに伸びた。 「ぁ……、やめっ…」 気づいて逃げようとするが、それが叶うはずもない。 制服のズボンが膝辺りまで下ろされ、下着が目に晒された。 ひゅぅ、と誰かが口笛を吹いた。 「なんだよ、すっかりその気じゃねぇか」 「ち、が……ッ」 言われなくても、わかる。サンジのそこは既にジンジンと熱さを増し、角度を持って下着を押し上げていたのだ。 男に触られて気持ち悪いだけなのに、どうしてこんな。 体の反応に考えが追いついていかず、サンジはただ男達によってもたらされる感覚に耐えた。 「ひっ……!」 下着がずり下ろされ、ぬるり、と冷たい何かがサンジの先端を包んだ。 それはすぐにサンジの体温と同化し、ネトリと敏感な粘膜に馴染んでいく。 「可愛いなぁ、あんた幾つだ?まだちょっと剥けが足りないみたいだな」 「…あッ、…や、嫌だッ……!」 普通なら怒りで我を忘れるような言葉。 しかし男の手がサンジのものを掴んで、乱暴に上下に扱き初めて、サンジはがくがくと震えた。 握られた部分が全て、じくじくと熱を持ったように潤みだす。 「…った、痛い…ッ」 熱くて、痛くて、けれどそれはまるで快感にも似ていて。 混乱する頭、動かない体、全てがもどかしくてサンジの目にじわりと涙が浮かんだ。 「おいおい可哀想じゃねぇか、テメェはテクってもんがありゃしねえ、代われ」 不意に横から別の手が伸びてきて、サンジのものを握りこんだ。 強く握っていた手を振り解き、ゆるりと幹を撫でさする。 「ひ、ぁあ…ッ」 喉を震わせるサンジに、男はよしよしと声を掛けながら、ゆるゆると動きを再開させた。 「どれどれ、俺が剥いてやろうか」 面白がるような言葉とは裏腹に、指先が優しく先端を揉み出していく。 さっきとは違い快感を拾い安いその動きに、ジン、と先端が反応し始めてサンジは小さく喉を鳴らした。 サンジにだって、これまで付き合った女性はいる。 お互いに触りあった事もある。 けれどどうしても最後の関係に行き着く事は出来なくて、自分以外の手でこれほど激しく先端を嬲られたことは初めてだった。 「あ……あ、ひっ…」 柔らかに顔を覗かせた先端の肉に、ぬるぬると熱い指先が這う。 とろっとした液状の何かを擦り込まれれば、途端に弾けそうなくらいそこに血が集まってきて、サンジは腰を浮かせた。 急激に競り上がる快感に、目隠しの下で開いたままの目からどっと涙が溢れる。 「おいおい急かすなよ、もうちっと剥いてやるから」 「ぅあ――……ッ!!」 ぎゅっと強い力で幹が握りこまれた。 苦しさに首を振って暴れれば、諌めるように今度は胸の粒が抓まれる。 指はその隙に先端の皮の中に爪先を潜らせ―― コン、と部屋の扉が小さく叩かれたのはその時だった。 * 4へ * -------------------------------------------------------------------------- ああ、なんかクリスマスイブにこんな話・・・! うちらしいですか、そうですか(笑)ゾロと見せかけてゾロじゃないのですよウフフ v いつも敵役は誰にしようかワンピキャラの中で悩むのですが…今回のモデルさん(?)は ちょっと自分的に特徴が掴みきれていないキャラなのでオリキャラと大差ないです。名前は…次回出せるかなぁ? 08.12.24 |