罠と毒薬 2

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 スパンダムの言葉に周囲から笑いが飛ぶ中、ゾロは腰を支えていた手を離すとスッとサンジの背後でしゃがみこんだ。
「……っ!」
 そしてぐっと穴を広げるように、尻たぶが左右に引っ張られて開かれた。
 ゾロの熱い息が、指を咥えたままの尻穴にかかった。
 誰にも見せたことなどない恥ずかしい部分が、ゾロの目の前に晒されている。
 ぴちゃりと濡れた感触。
「な…ゾロ…ッ!?」
 中に入った指の上から、ゾロの濡れた舌が穴の周りをなぞっている。
 男の、しかも排泄器官を舐めるなど、いくらそうせざるを得ない状況だからといってもにわかに信じられない。
 目を見開くサンジに、ゾロの舌は大胆に動き始めた。
 突き入れられた指がぐっと穴を押し上げて、出来た隙間からぬるりと舌が入り込んだ。
「……ッ」
 びっくりしてきゅうっと後ろに力を込めれば、ちゅるりとゾロの舌がはじき出される。
 ほっとしたのも束の間、今度は尻たぶを掴んでいた方の指が一本、穴の入り口に掛けられた。
 ぐっと、きつく閉じた襞をこじ開けてもう一本が進入してくる。
 慣れない圧迫感に眉をひそめて耐える間に、その二本の指がゆっくりと左右に開きだした。
 反射的に閉じようと力が入るが、しかしゾロの指の力には敵わない。
「……オイっ、ゾロ……ッ!」
 小さく焦った声を出したサンジに、二本の指で広げられた穴の中にゾロの舌が滑り込んだ。
「ぅあッ……!」
 熱くぬめった生き物のようなものが、サンジの狭い襞の間をかき回す。
 
「お笑いだなぁ!東高の双頭がこんな無様な格好でよ」
 笑うスパンダムの汚い顔を視界から外して、サンジは床を睨みながらじっと耐えた。
「…ッ、く、ぅ…」
 こんな場合だというのに、ゾロの舌は丁寧にサンジの後ろを解して行く。
 穴の周りを舐め、やわらかくなった内部に入り込んではぐねぐねと動き回る。
 中の敏感な肉壁を直に舐められる感触に、ぞわりと下腹部が痙攣した。
 ぴちゃぴちゃと上がる水音が暗く濁った空間にやけに大きく響く。
 何十という好色な視線がサンジに絡みついてくる。
 
「変態…野郎が…ッ」
 小さくはき捨てたサンジの言葉に周りが笑った。
「てめぇこそ、実はこういう趣味があるんじゃねぇのか?すげぇ乗り気」
「ア…ッ!?」
 スパンダムがギブスを嵌めてない方の手でサンジの性器を撫でた。
 知らぬ間にサンジの性器は小さく立ち上がっていて、赤く充血した先端がふるりと震えている。
 ――ゾロにあんな場所を舐められたくらいで、こんな。
 衝撃を受けるサンジをよそに、ゾロは更に後ろに入れる指を容赦なく増やしていく。
「……ッ」
 痛みよりも圧迫感が凄い。ゆっくりと広げては突き入れる、その動きを繰り返されているうちにサンジの狭い後孔はゾロの指でいっぱいに埋まってしまっていた。
 知らずサンジの息はあがり、汗ばんだ肌はほんのりと色づきはじめている。
 その変化は周りを囲むものたちの目にも明らかで、次第に視線にも熱がこもり始めている。
 ただの報復作業が独特の雰囲気をかもし出し始めたことに、しかし気付けるものはいなかった。
 
「…ぅ……」
 サンジは上げてしまいそうになる声を必死に飲み込んだ。
 息が上がっているのは舐められているせいだけではない。
 ぎゅうぎゅうと含まされたゾロの指が内部で身じろぐたびに、時折ひどくビリっとした不思議な刺激があるのだ。
 それははっきりした痛みとも快感ともつかないもので、一体何がどうなっているのかわからないが、その度にサンジの前は零しそうになるくらいに震え上がった。
 
「随分よさそうじゃねぇか」
 サンジの様子を見ていたスパンダムがニヤリと笑う。
「じゃあそろそろ入れてもらおうか」
 しかしここに来て初めて、ゾロに迷いが見えた。
 サンジの後孔に手を突き入れたまま、背後で小さくうめく。
 あのゾロに躊躇いなんてものが生まれるのは正直意外だったが、そりゃそうだろう。いつもツルんでしょっちゅう喧嘩もしてきた相手、しかも男相手にその気になれる人間の方がおかしい。
 そんなゾロの様子を見て、ふとスパンダムが声を掛けた。
 
「オイ、あれ買って来たヤツはどいつだ?」
 問いかけに、はい、と後ろの方から男が一人進み出る。
 男はコンビニの袋から半透明で円柱の形をしたプラスチックのケースを取り出すと、蓋を開けて中から一本の棒を取り出した。
 綿棒だ。
「……?」
 不審な目をむけるサンジの前で、スパンダムが男に何かを囁く。棒を持ったまま男がサンジの前に屈んだ。
 
 男の手が乱暴に、勃ち上がりかけていたサンジの性器を掴んだ。
「……く、うッ…」
 先端をわざとなぶるように擦りあげると、ニヤリとサンジを見上げる。
 そして手にしたその棒を、サンジの赤く熟れた先端につぷりと差し込んだ。
 
「ぅアああッ…!?」
 信じられない痛みに目を見張れば、男は更に尿道に深々と突き立てた棒をぐりぐりとねじ回した。
 カサカサした硬いものが、柔らかな内部を擦り上げる。細い棒とはいえ、そんな場所をこじ開けられるのは初めてのことだ。
「ひぃ…ッ、ああァ…!」
 中ほどまで入れては、ずるりと先端付近まで引き抜く。
 剥き出しの内臓を撫でられているような感じたことのない種類の痛みに、声も殺せずサンジの体はがくがく震えた。
「…テメェッ」
 背後でゾロが低く唸った。
 男はサンジの反応に興が乗ったようで、狭い尿道内を円を描くように棒を動かした。
「あッ……く、ぅ…!」
 淡い色をしていた性器の先端が、充血して真っ赤に色づいている。
 棒が埋め込まれた穴の淵、剥き出しになった敏感な肉をスパンダムが遊ぶようにゆるりと撫でた。
「ひィッ……!」
 ビクっと体を揺らしたサンジを、ぐっとゾロの熱い手が支えた。
 
「入れろよ、ロロノア」
「……」
 有無を言わせぬ脅迫に、ずるりと後孔からゾロが指を抜いた。
「ぁ……ッ」
 急に抜き去られたものを寂しがるように、勝手に後ろの襞がヒクヒクと震える。
 しかし今度はそこに、指よりも何倍も熱くて太いものがぐぬりと押し入ってきた。
「ア…あぁ…ッ!?」
 指などとは比べ物にならない重量。
 即席に広げられた襞はそれでも潤いが足りなくて、ひきつれたような痛みと圧迫感がサンジを襲った。
「くッ…」
 ゾロも苦しそうな声を小さく耳元であげた。
「う…ア…ッ」
 思わず前に逃げる体を、腰に回ったゾロの手が押し留める。
 信じられない思いのまま、サンジはゾロを受け入れた。
 ゾロの性器はなぜか硬く、熱くなっていて、それがますますサンジを驚かせる。
 
「ははッ、最初からそうしてりゃいいんだよ」
 荒い息を吐きながら、痛みを堪えてなんとかゾロが馴染むのを待つ。
 ゆっくり、おそらくサンジを傷つけないようにだろう、じわじわと入り込んでくるゾロの性器。
 スパンダムの声を遠くで聞きながら、サンジはギリギリと頭上で括られた手の中に爪を立てた。
 ドクドクと脈打つのは、サンジの内壁なのかゾロのモノなのかわからない。
 ぴたりと重なった背中から、ゾロの暑い胸板が浅く上下しているのがわかった。
 
 
 小学校からの腐れ縁で、剣道バカで、寝汚くて、顔を寄せ合えば喧嘩ばかりして。
 
 笑う顔にすごく、安心して。
 
 こんな形で体を繋げていい相手などではなかった。
 大事にしてきた気持ちを上から踏みつけられたようで、サンジは開きっぱなしの口から小さく嗚咽ともつかない声を漏らした。
 
 
「じゃあ次は出しな、ロロノア」
 非情な欲求は続けられる。
 痛みで萎えてしまったサンジの性器には差し込まれたままの綿棒が半分はみ出ていて、背後からゾロに貫かれているせいで足は爪先が辛うじて床に付いているような不安定な姿勢だ。
 
「おっと、出せっていってもイけってことじゃねぇぞ?」
 ニヤニヤとスパンダムがサンジに目線を這わす。
「便所に出すのは決まってんだろ…?」
 その言葉に周りの男たちも次々に下卑た笑いを浮かべて二人を見た。
 嫌な雰囲気にゾロの眉がぎりりと寄った。
 
「小便だよ。たっぷり注いでやんな、ロロノア」
 




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 06.09.12