プレゼント 4
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 帰らないでくれ、自分が必要だとサンジに言わせたいのが明らかなゾロの態度。
 そうでなくとも、サンジが少しでも折れる態度を見せれば事態は変わるのだろう、が。
 サンジは悔しげに顔を背けた。
 急に静かになった部屋に、サンジの荒い息遣いだけが響く。
 言葉が途切れると再び痛いくらいの視線が自分に注がれているのを感じ、体が震えた。
 両手足を戒める皮ベルトは固く、引き千切る事は出来ない。連結している鎖は短い為に、接合部分に自分の指先すら届かない。もとより自分一人で外すことが出来るのなら、ゾロが来る前にとっくにそうしている。
(……てめぇ以外誰が来るってんだクソヤロウ!)
 そんなセリフを素直に言える性格をしているなら、きっと自分はここまで苦労はしていない。
「ふ……っ」
 後腔の浅い部分を揺すり続ける塊が、甘く緩い痺れを持って下半身を支配している。
 目を閉じるとどうしてもその部分に意識が行ってしまうので、サンジはなるべく目の前の白い壁紙を見て関係のないことを考えようと…した矢先なのに。
「……ただ見てんのもつまんねぇな」
「だったら見んじゃねぇ!……って、何……」
 ゾロがシャツの裾を捲り上げた。入り込んできた風と触れた指の思わぬ熱さに、ピクリと脚が反応する。
 何も身にまとっていない臀部が、細いコードを咥え込んでいる部分までもが明かりの元にありありと晒される。
 気恥ずかしさにずり上がったサンジの脚を、ゾロの手が押さえつけた。
 そこから伝わるじんとした熱さに、再び目の奥がくらりと回りそうになる。
(あ…やべぇ)
(も、すげぇ触られてぇかも…)
 ゾロの熱にうず、と脚を摺り寄せたときだ。
「もうちょっと動いてみろよ」
「…は?……ッあ!?」
 突然サンジの中のローターが激しく震え始めた。
 先程より大きく内壁を揺すり、抉るような振動にサンジの腰がビクビクと跳ねる。
 へぇ、と感心したような声が後ろから聞こえ、見ればゾロが自分の内部からシーツの上に垂れていたコードの先端のコントローラ部をいじっているところだった。
「止めッ……、…う、ぁッ」
 衝撃から逃れようとするが、それはまるで自ずと腰を高く突き出し、揺する動きをしているかのようにゾロの目に映る。
「……いい格好だな」
「く…ぅ」
 低いモーター音がどこかくぐもって内部から聞こえる。は、は、と荒いサンジの息遣い。
 ローターは入り口あたりをぐるぐると動くだけで、触れて欲しい位置には今一歩届いていないのだ。
 それがサンジには今、とてつもなくもどかいしい。
「………」
「っ……、……ゾロ…っ!」
「………んだよ」
 わかっているくせに。必死のていでせがんでも、ゾロの目線は揺ぎ無く突き刺さるばかりだ。折れる気など更々ないらしい。
 サンジの眉根が、ついにふにゃりと歪んだ。
「……ッ、…ねェ……」
「あぁ?」
「……てッ、てめぇ以外にこんな姿見る奴なんか、いねぇッつったんだ!!」
 真っ赤に上気した顔でぎっとゾロを睨みつける。
「……〜〜テメ、もぅ」
 ふるふると震えながら、自然口調は懇願めいたものになる。
「もぅ、何だよ」
「……ッ!」
「ここまで来て、何ためらってんだよ」
 こんなに恥ずかしいカッコ晒しといて。
 言いながらぐいっとサンジ顎を掴みこちらへ向けた。途端に悔しさを堪えた強い眼差しが返ってきて、ぐっとくる衝撃をゾロは唇を湿すことでやり過ごす。
「言えよ、何をどうして欲しいのか。いやその前に、エースに何されたか言え……ヤツと、ヤッたのか?」
 あまりにもストレートなゾロの物言に、かっとサンジの頬が更に染まった。
「……っ…」
(死んでもやるわけねぇだろ、テメェ以外、男となんか!)
 心ではそう叫ぶのに、正直な台詞は例え今更な言葉でもやっぱり素直には出てこない。
「ヤッたら、どうだってんだッ……」
 口の端を歪ませて、睨みつける。
 挑戦的なその声に、見返すゾロの眉がぴくりと震えた。
 目の前の男の、プライドの張り方なんてわかりきっている。(むしろ素直であった方が気味が悪い。)黙ってこちらも視線を返せば、目の中には、ちらりと自分の応答に対する不安が揺れる。そんな様を見れば、答えなんて瞭然だ。
 この子供じみた強がりを、丸ごと全部抱きしめてやりたいと思うのは確かな事実だ。
 羞恥に染まる目元や、苦しげに呼吸を繰り返す白い喉。滑り落ちる汗。
 サンジは熱に浮かされたまま、じっとこちらの反応を待っている。
 いつもなら気づかぬ振りをして受け止めてしまうそれを、今日は何故かもっと張らせて見たくなった。
 どこまで自分の前で意地を張れるものか。耐え切れなくなった男が、自分の前で全てを晒す様を見たい。
 嗜虐心とともに、ゾロの中の熱がドクリと上がった。
「……確かめてやる」
「なっ……」
 この答えは予想外だったのだろう、サンジの目がわずかに見開かれた。
 ニヤリと口を歪めると、ゾロは足の間に垂れていたコードの先を再び取った。そしてくい、と更につまみを上げる。
「ぁあっ!?…や、ヤメッ…ゾロッ……!」
 急激な振動に喉をのけぞらせてサンジが叫んだ。
 サンジの体内から伸びているコードが、内部の激しさを表すように空中でぶるぶると震えている。
「そういやこういうの、初めてだよな?結構、良さそうじゃねえか」
「ひっ!?」
 ぐぼっとすぼまった窪みに指を突き入れられて、背筋が強張った。
 かさついた何の潤いもない太い指が、コードと共に柔らかい内壁をなぞる。
 無意識に侵入者を押し出そうと、きゅうっと懸命に締め付けてくるきつい後孔。押し広げるようにかき混ぜると、ゾロの指先がぬるりと滑った。ゾロの眉間にむっと皺が寄る。
 熱い腸壁が濡れているのはサンジ自身のものか、それとも何か薬剤でも入れられたのか。まさか、本気でヤツの……?
 逃げを打とうとする腰を押さえつけて、中指を添えて二本に増やした指をぐっと根元まで突き入れた。
「ぅあ…ッ」
 押さえつけている手の平から、サンジのしっとりした汗と体の震えが伝わってくる。
 くっと指先を曲げれば、熱い内壁が驚いたように蠕動してゾロに絡み付いてくる。
 ぐるりとそれに沿って、こそぎ落とすように指先でへばりつく液体を掻き出してみるが、量も色も危惧していたものではなかった。おそらく用意周到なヤツに、ゼリーでも使われたのだろう。
 ぬるつく指先の匂いをかいだ途端、伏せていたサンジが小さく息をのんだ。どうやら自分の行動を横目で伺っていたらしい。さっきから妙に押し黙ったままの背中が、ぷるぷると羞恥に耐えている。金髪の間からのぞく耳が真っ赤になっている。
 これは…もちろん期待に応えてやらないといけないではないか。
 突っ伏したままのサンジにはわからない背後でニヤリと人の悪い笑みを乗ると、ゾロはわざとサンジの薄桃色のすぼまりに顔を寄せ、両手で穴を広げて襞の張りやコードが飲み込まれている奥の方の色までも確認するように覗き込んだ。
 そういえばこんなに明るい場所でじっくりと見るのは初めてかもしれない。
 半ば本気でごくりと喉を鳴らしたゾロの、その息遣いを肌で感じたのだろう、サンジの穴がきゅうと恥ずかしげに窄まった。
「小せぇのに、頑張って色々咥えてんじゃねぇか」
「なッ…なに、して…」
 指を抜き去り、代わりにコードを咥えているひだの周りをべろりと舌で舐め上げてやると、ひっと小さな鳴き声がサンジから漏れた。
「ふん、どうやらヤっちゃいねぇみてェだな」
 不貞をまさに「調べられている」屈辱に、サンジはくっと目を閉じ唇噛み締める。涙がじわりと滲む。
「てめ、殺すッ……」
 肩を震わすサンジに、へぇ怖ぇな、と適当に返し、ゾロは更に凶悪な笑みを浮かべた。
「出てきちまったな。おら、もっと奥がいいか?」
「あ、やッ…!」
 指を抜いた際に入り口まで落ちてきていたローター本体を、指でぐっとサンジの穴に押し戻した。
「うぁっ……ひっ…!」
 ねじ回しながらわざといいところに押し当てると、途端にびくびくっと背をしならせて、目を見開いたまま首を振る。
「あー?なんだあんま大した振動じゃねえな」
「ゾロ!やっ、ムリ…だッ、あぁっ…!」
 ぐっ、ぐっ、と詰め込むように指押ししながら、そ知らぬ顔で前立腺をなでて、ゾロはローターの強弱をMAXに押し上げた。
「こんぐらいか?」
「あっ…ああぁッ!?」
 ブブブブ、と勢い良く暴れ始めた塊にいいところを直に叩かれてびりびりとした刺激がサンジの中を駆け巡り、一瞬目の前が白くなった。
 熱い性器はぽたぽたと涙を零し、でも達することが出来ずにジンジンと熱い痛みだけを伝えている。ドクンドクンと血が巡る感覚だけをリアルに感じ、サンジはぷるぷると打ち震えた。
「も、ダメッ……イ、かせ……」
 あ、あ、と苦しげに生理的な涙を滲ませながら、サンジがついに音をあげた。
「いいぜ、イケよ」
「ひぃッ!」
 ぐりっと容赦なくゾロがローターをソコに押し当てた。
 指先が白くなる程足元のシーツを握りしめ、全身をがくがく震わせながら、掠れる声でサンジが悲鳴を上げた。
「ダメ、や…イ、けねッ……!」
「あ?これ以上強く出来ねえぞ」
「ちがッ………」
 真っ赤になって慌てて顔を起こしかけたサンジだが、背筋に力を込めた為にいらぬところまで絞めてしまったのだろう、ふぁッ、と一際大きく喘いで枕に沈み込んだ。
 苦しそうな息の元、くたりと枕に沈みこんだ金髪の間、上気した顔に濡れた青い瞳がゾロを見上げた。その表情にぐらつく理性を、かろうじてゾロは飲み込んだ。
 ゾロの額に浮いた汗や、熱っぽい視線に気づく余裕は既にサンジには無い。
「……前、とっ……!」
 消え入りそうな声で 震える唇を噛み締める。
「……前?」
 そこでゾロは初めてサンジがずっとうつぶせのままだったことに気づく。シャツの前に隠れていて良く見えなかったが、サンジの性器にはあえて触れてやらずに放っておいたのだ。
 不審に思いながらサンジの後から指を抜き去り、ぐっと片膝を持ち上げて転がすように体を反転させた。
「ヒァ、ま、待て……」
 手首と足首が繋がれたままなので、サンジは足をM字に左右に開ききった状態でそれをゾロの前に晒すこととなった。





*5へ*



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