KOAKUMAラヴァー 19 ------------------------------------------------------------------------------- |
(19) * * * * * あれが一体いつの夢だったのかはわからない。 エースに齧られた後、訳もわからぬままマンションから追い出されてその晩思い出したサンジとの独白。 多分、サンジが押さえ込んでいたゾロの中の記憶なんだろう。 サンジが閉じていた蓋を、多分あの男が、本人の言葉で言うなら『食べた』のだ。 「探して貰いたいんだ」 その日、学校でウソップに突き出した、握りしめすぎてしわくちゃになったメモ。 「ばらてぃえ?」 「多分、サンジの何かに繋がるもんだ」 「……えーとちょいまち」 切羽詰ったゾロの顔をちらりと見て、ウソップは鞄から自分の携帯端末を取り出した。 こういう時あまり深く聞かないでいてくれるのも、ウソップのいいところだ。 ゾロは携帯こそ持ってはいるが、ほぼ電話しか使っていないしパソコンも持ってないので、こういう時は常にウソップ頼みだ。 ウソップは手元のタッチパネル画面を操作してしばらく真剣な顔をした後、これかなあと呟いた。 「由来とかはよくわからないが、大抵が洋食料理屋の名前だな。全国に数える程あるぜ。でも俺はここの店が怪しいんじゃないかと思う」 「…理由は?」 ウソップは画面を見ながら、ノートに鉛筆でその住所を移していく。 「この中じゃ場所が隣県で一番近いってのと」 それからもう一つ。 言ってニヤリとウソップが笑った。 「中学ん時同級だったルフィ、覚えてるか?」 「おう」 突然出てきた名前に、ゾロは目を丸くした。 昨日、兄貴だという男に会ったばかりなのだ。 「あいつがさぁ、昔しきりにここの飯は美味いって言ってたんだよ、そういえば。 そん時はどこにあるとか考えずに、まあ誰かの土産か本か何かで知ったんだろうな、くらいにしか思わなかったんだけどよ」 「…ルフィが」 「あいつが言うからには、なんかあるんだろ」 「あー…」 「運とか偶然とか、そういう俺らの大事な縁みたいなもんを、全部掻っ攫って結びつけるような奴だったろう」 「だな」 今頃何をしてるのだろうか、本当に不思議な男だった。 「ルフィが行ける範囲にありそうな店で考えると、ここしかねぇんだ。だから今回も多分、ここじゃねぇかなって」 「…ありがとうウソップ、恩に着る」 「よせやい」 頭を下げたゾロに、照れたようにウソップが鼻をこすった。 |
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