そんなものよね。
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ゾロとサンジくんは見た目的には本当に仲が悪いように思う。
顔を合わせれば些細なことでケンカをする。
年下のルフィや女の子であるあたしやウソップやチョッパーにはなんだかんだ言って二人とも結構優しいと思うのに、と心の中で首をほんのり捻っていたのはつい先日のことまで。
結構あたしもいろいろな人物を見てきて社会勉強とかしてきたつもりではいたのだけれど。
つもりはつもりでしかなかったらしいのよね…。
 
 
なんだかきっかけは忘れたけれどのもう!という話になった。
あぁ、そうだ。
サンジくんが実家から地酒を持ち帰ったからのもう、ということになったのよね。
問題は場所。
このメンツでこの人数で集まったら大抵迷惑がかかってしまう。一人暮らしのあたしはまぁ、片付けてくれるなら場所提供くらいしてもいいかなとか思ったけどサンジくんの
「ナミさんところにてめぇらなんかいかせられっか!」
という一言で除外された。
ルフィはおにーさんといっしょだしチョッパーはおばあさんといっしょだし。
残る選択肢はサンジくんのところかゾロのところかウソップのところか。
ただしウソップの部屋は物が多すぎて人が入りきらない可能性があると言う本人の自己申告により除外され、そう言う基準で行けば一番物が少ないゾロのところが適任よね、というあたしの一言で有無を言わさず決定になったんだけど。
ほんっとーに、あの部屋。
モノがなかったわね…。
シンプルと言えばシンプルなアパートの一室。
家具と呼べるのはローテーブルとベッドとテレビくらいなもん。
あぁ、一応コンポもあったか。
クローゼットが作り付けになってるから余計にそう思えるのよね。しかも部屋を広く見せる基本、低い家具しか置かないっていうのを忠実に守っているわけでもないんだろうけど背の高い家具なんてないから余計にそう思えて。
余りにらしくて言葉もでなかったわ。
どやどやとそれでも皆が入ればそこそこにせまくなったそこでいつのまにかエプロン装着済みのサンジ君が家から用意してきたらしいものをパパっと並べ、先にそれで飲んでろ、と言い置いて台所に立つ。
…マメよねー。
と、揚げ物を一つ口に入れサラダを取ってそれも味わう。
どうやらドレッシングまで手づくりね、これは。
趣味で仕事と言えどもこれは本当に凄いと思いながらふっと台所に立つサンジくんの姿を見て。
ほんの少しだけ違和感と言うかそんなものを覚える。いや、違和感じゃなくってなんかもっとこう…。
なんていうのかしら、と思っていたらサンジくんの行動を見て答えに行き着いた。
普通人の家の台所なんていくらシンプルでもわからないし多少は迷うはずなのに、サンジくんは当り前のようにそこを使いこなしている。持ち主のゾロに何も確認を取らずに。それどころかどう見たってゾロが使うっていうかそろえそうにない置きっぱなしのスパイスをあれこれ取り込んでどう考えてもゾロが買わないような圧力鍋なんか使って料理をしている。
…サンジ君の荷物は大きかったけど。あそこにあの圧力鍋が入るような隙間はなかった。
つまりは。
そゆことで。
……仲悪いんじゃなかったわけね。
っていうかむしろよすぎるくらいによかったから仲がわるい風にも見えたのね、と。
あたしは。
納得してしまった。
なんだかしなくてもいい類のものだと言う考えは美味しい地酒と一緒におなかの中に流し込んだけどね。
ついでにあったかいサンジくんの手料理も満喫させていただいたわよ。えぇ。
あの置かれてたスパイス使われてた新妻の手料理のようなやつをね。
 
 
ようするに人は見た目じゃわからないってことね。
無言で置かれた当り前の品々によりものすッごく惚気られた気分になったわ。
まぁ、一々人との関係を周りに風潮するようなことってないんだろうけど。でも、なんていうか。
そうね。ここはひとつ。
ごちそうさま。
っていうのがいちばん正しいかしらね。
本音はちょっとやってらんない、ってのもはいってるけど。





*END*


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 隠してるものがうっかり回りにバレている、ってのは好きな設定であります。