その先に目指すもの
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どこか島が近づいているのだろうか、ここ数日安定した気候が続いている。

ポカポカと暖かい日差しを浴びながらトロトロと落ちてくるまぶたにゆだね、このまま眠ってしまおうかと瞳を閉じる。



「おおーーーーーっ!巨大な魚発見っ!!!!」



…………



何の前触れもなく大声で叫ばれて、眠気がふっ飛んでしまった。
どこだどこだ!と沸きたって甲板でバカ騒ぎをしている3人(正確には2人と1匹)に呆れた視線を向ける。

「ナミさん、15時のおやつはいかがですか?」

タイミング良く声を掛けて来たサンジに「いただくわ」と返事し身を起こした。

「それにしてもナミさんの安眠を妨害するとはアイツら…ちょっと懲らしめて来ます!」
「いいのよ、どうせ航海中は眠れないんだし」

どっかのバカ剣士と違ってね、と、この騒ぎをものともせず甲板で眠り続ける緑の頭を指さす。
「あのクソマリモ…」と忌々しそうにタバコのフィルターを噛みしめる姿が妙におかしくて、思わず吹いてしまった。
その反応にサンジもバツが悪そうに頭をかきながら眉尻を下げた。





 ◇◆◇◆◇◆◇





おやつをつまみながら先ほどと変わらず騒ぎ続ける2人+1匹を眺める。
その中でも一際輝いている笑顔に、つられて楽しくなる気持ちと同時にわき上がるちょっとだけの寂しさ。

「ナミさん…」

その微妙な表情の変化を感じ取ったのか、気遣わしげにサンジが声を掛けてくる。

「大丈夫よ…」
「ナミさんは不安じゃないんですか?」

非常に不本意な事だがこの世界一ステキでキュートで美人な航海士は賞金3億ベリーの船長に好意を寄せている。
だが好意を寄せられている当の本人はというと全く気付くこともなく冒険だ肉だと主にウソップやチョッパーと騒ぐばかりだ。

「これで良いのよ」

こんなのはいつものこと。傷と呼べるほどのものでもない。

「でもそれじゃあ…!」



貴方が報われなすぎる…



「じゃあ訊くけどサンジ君、私の事好き?」
「もちろんです!」
「世界中の女性たちよりも?」
「貴方が世界で一番です!」
「世界中のあらゆる食材よりも?」
「貴方の方が魅力的です!」



「じゃあ―――」



じっとまっすぐ見つめられる。



「『私』と『オールブルー』、どっちを選ぶ?」
「―――っ!!?」



思ってもいなかった質問に思考が一時停止する。

ようやく言われた意味を理解して、何か答えようとしても、口を開閉させるだけで音が出てこなかった。

「…それは…」

答えなくてはと絞り出した声はかすれていて、

「…それは、ナ―――」
「ストップ」

口が単語を紡ぎ出す前に人差し指を立てて制止される。

「それ以上はたとえお世辞だとしても言ってはいけないわ」

強い瞳と共に否定されてしまった。

それは決して口に出してはいけない言葉、
言ってしまえばこの船に乗る資格を失ってしまう。

「そういうことよ」



それぞれが己の「高み」を目指して集まった。

『海賊王』『大剣豪』『オールブルー』『勇敢なる海の戦士』『世界地図』『世界を見る』『真の歴史の本文』…

それらは何者にも変えることのできない強き信念。己が行動理由。



彼の一番は『海賊王になること』
それと同じぐらいに大切なのは『仲間』



それでかまわない



私を選んでくれなくてかまわない
私が一番じゃなくてかまわない



なぜなら、

『私が一番』なんて言う彼は私の『好きな』彼ではない



ひたすら前を見続けて
後ろを振り返らないで
その輝きを失わないで



彼の一番は『海賊王になること』
私の一番は『世界地図を描くこと』

海賊王になる貴方とともに世界地図を描き続ける

だから私は貴方の後ろではなく、貴方の隣で前を見続けるわ

それが私の一番の幸せだから―――――――――





そうほほえむ彼女の顔は女神のように美しく、



「ああ、ナミさん。貴方はやっぱり…」



この世で一番素晴らしく、美しくキュートな女性です。



神様なんて信じていないけれども、
願わくばこの上ない幸せを彼女に与えてください。

そして…





「あ″ーーーーっ!ナミ!!なに一人でうまそうなモン食ってんだよ!!」





この羨ましすぎる鈍感男にほんの少しだけ天誅を!!







普段はアイシで活動しているKeep it up !の板さまからいただきました!!
最初ゾロサンで!と意気込んで告白したら
「私的にゾロは下★」と言われ見事に玉砕したので、第二の好物ルナミとなりました。
でもさり気無くサンジとゾロが接してくれている…感謝!
次はロビナミでSHOKUSHUにチャレンジしてくれるそうなので、超楽しみです★

板さまありがとうでした〜!
07.10.16