※ご注意!※
これは1月21日・28日発売のWJのネタバレになります!

しかし書いた端から
全ての文章が陳腐に見えてしまいます。
こんなんじゃない、こんなんじゃないんだ…!と
泣きそうになりつつも書かずにはいられない。そんなM。(え

Mは、妄想女子の、Mだ…!


この先蛇足妄想で、すいません。




















 
 
 
「私も”見ちった”のです……!!お二人の行動に心打たれました」
 
 ピアノを前にそっとブルックがそう打ち明けた時には驚いた。
 
「………」
 
 黙り込むサンジの前で、細い指から滑らかなリズムがこぼれ出す。
 
 
 
 
 
 
 
 一晩中戦った疲れから、仲間や海賊たちが一人また一人と明るい日の下で眠りにつき始めた中庭。
 サンジはそっと、足音を殺して崩壊した建物の中に入った。
 血を吸って重いスーツは脱ぎ捨て、船で新しい服に着替えてきた。黒いパーカーにはどことなく、新しい船の木材の匂いがする。
 
 
 日陰の中で、懇々と眠る男。
 傍にしゃがみこんで、サンジはその青白い体を覗き込んだ。
 
 死んでいるかのような細い呼吸。
 カサカサに乾いたその唇の上を、確かめるようにそっと伸ばした指先で触れる。
 
 ゾロはあれから、目を覚まさない。
 
 一体あの後何があったんだろう。
 酷い怪我と引き換えに、一体あのクマとどんな戦いをしたんだろう。
 
 何もわからないままだ。
 でも。
 
 生きてる。
 
 
 サンジはぎゅっと口をへの字に曲げて、指先で唇をなぞった。
 まるで初めてゾロに触れるように、鼻筋、瞼、眉毛、その輪郭をなぞる。
 
 柔らかく、寝ているゾロの形を確かめる。
 
 
 
 生きている。
 
 太い喉、太い腕、筋張った筋肉、斜めに走った傷跡。
 
 そっとなぞる。
 
 サンジを馬鹿馬鹿しいあだ名で呼ぶ声、抱きしめたら蹴り飛ばすまで話さない腕、サンジの料理で太くした筋肉だってある、そしていつだってサンジには触れさせてくれた、傷跡。
 
 
 心臓の上あたりで、指先が止まった。
 
 
 指先だけじゃ足りなくて、そっと鼓動を確かめるように耳を乗せかけて、止めた。
 
 代わりにぺろりと、心臓の真上あたりを舐めてみた。
 
 
 埃と血の味がして、サンジは一人で薄く笑った。
 
 
「……ばかやろう」

 とっとと起きて、俺の料理食えよ。
 
 
 小さな呟きは、空気に溶けて消えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「恋人っていいですね………!!」
 
「ててて、てんめぇ何を見てやがった…ッ!!」
 
 感銘しましたと震えるブルックの胸倉を掴み上げて、真っ赤になったサンジはガクガク揺さ振る。
「今すぐ忘れろ!てかその目ん玉抉って煮込んでやる!」
「いや私目玉ないんですけどね!骨ですから!あ、煮込む時は熱めでお願いしますよ。といってももう出涸らしに近いですけど」
 骨ですからヨホホホ、と笑うブルックのピアノが、宴会場に響き渡った。









*END*



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ゾロサンよ永遠なれ!

08.01.29