あしたをうたって EX
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「ようやく帰ってきたのか、最後の組」
 昼過ぎに大あくびをしながら起き出してきた緑頭を、サンジは打ち込んでいたパソコンから目を上げてぎっと睨みつけた。
「てめぇ……なんだよありゃ!」
「あぁ?」
 裸の上半身に愛用のハラマキ1枚という格好でボリボリと腹を掻きながらゾロが見れば、サンジはほんのりと耳を赤く染めてそわそわしている。
 苛々しているというよりは、そわそわ、だ。
 ゾロは階下の植物園を覗き、昨晩遅くに辿り着いたらしいロボット達を見てあぁ、と納得した。
 調査と研究を兼ねて、2人の人格をコピーして様々な場所に送り出した機械達。
「なんでそのどれもこれもが、あんな風になって帰ってくんだよ!てめぇ何か変なプログラム組みやがったんじゃねぇだろうな!」
 さんさんと日の光が差し込むガラスの庭園の大きな木の根元で座り込んで、しっかり抱きしめ合っている緑と黄色の頭を指差してサンジが喚く。
「してねぇよ。機械の方が余分な感情が少ない分、素直なだけだろ。……オラ」
「……なんだよ、その手は」
 両手を広げてやおら床に座り込んだゾロを、サンジが胡乱な目で見つめる。
「あいつら見てたらしたくなった。オラ来い」
「てめッ、俺はペットか何かじゃねーんだぞ!」
 しかしためらいもなくそう先に言われてしまったら、サンジにはもう断る理由がない。
 昨晩から落ち着かなかった体は正直で、その腕の温かさを知っているならなおのこと。
 自分達のコピーである彼らの行動にあてられるなんて、本末転倒もいいところだ。
 しかしうずうずする衝動を堪えきれなくて、サンジはかけていたメガネをはずしてパソコンの脇に置くと、おずおずとゾロの腕の中に入っていった。
「……くそッ」
 照れ隠しにそう吐き捨ててそろそろと膝の上に乗っかってきたサンジの体を、ゾロがぎゅっと抱きしめた。
 そうするとどこか安心したように息を吐いたサンジが、その身をゆっくりとゾロの胸に預ける。
 本当に小動物を手なずけているようで、ゾロはこっそりと苦笑した。
「これでようやくこの星から出れるな」
 サンジの背中をゆっくりと撫でながらゾロが言う。
「帰ったら飯食わせろ」
「別に今でも食わせてるじゃねぇか」
「もっと普通の食材から作ったやつが食いてぇ。魚の煮付けとかみそ汁とか…」
 まぁお前の飯ならなんでもいいんだけどよ、と鼻先に埋められたゾロの呟きに、サンジの耳がまたほわりと赤くなる。
「……おう」
 ほこほことしたゾロの体温に鼻先を埋めながら、そしてサンジもその背を抱きしめ返した。




*END*



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以上、エセSFでした。
この星の事情とか、他にもいっぱい帰ってきているだろうゾロサンROBOTSだとか、それらの自己意識は、とか
…あ、あまり深くをツっこまないでください…。
あ、最後に出てきたこのゾロサンは人間です。