甘いごちそう |
上陸を明日に控えたメリー号の、夕暮れに染まるみかん畑で。 ナミさんと、キスをした。 触れるだけの、軽い口付け。 見張り台からはルフィの、そしてみかんの木の向こう、甲板からはゾロの視線が痛いほど注がれている。 その視線に肌が震えたのは、きっと自分だけではなかったはずだ。 目を盗んだふりをして。 ほんのり触れた唇から、体温と、そして切ない気持ちを分け合う。 ただ、それだけ。 それだけで、充分だった。 その島に着岸した日の夜、サンジは突然キッチンに入ってきたゾロに荒々しく床に引き倒された。 船に残っていたのは初日の見張りを買って出たから。 キッチンに一人居たのは、買出しのリストを作っていたからだ。 ……いや、違う。 本当は、待っていた。 船のどこかから低く渦巻くような怒りの気配が伝わってきて、ペンを走らせながらも体にゾクリとした震えが背中を走る。 きっと今あいつの頭の中にちらついているのは自分のことなのだろうと。 それを考えると酷く興奮して、ぼんやりと宙に視線を走らせたまま無意識に鉛筆を噛んでいた。 床に転がったまま体勢を立て直す間もなく、あっという間にズボンと下着を取り去られ、ネクタイも何処かへ飛んでいった。 「…てめッ!」 制止の為に振り上げた手は、両手首をひとまとめにして頭上に押さえつけられる。おそらくバンダナであろう、すぐにテーブルの脚にくくりつけられた。 ゾロの背中ごしに、キッチンのランプの灯りが揺れる。 サンジを見下ろすゾロの目は、陰になった暗がりの中でもギラギラと燃えていて。 余裕のないゾロのその仕草に、体が熱くなった。 「……ッ!?」 突然後孔にひやりと冷たい感触があたり、サンジは背を震わせた。 剥き出しの下半身、大きく広げられた脚の間でゾロの手が動いている。首をねじって見遣れば、その手にはまだ新しい歯磨き粉くらいのチューブボトルが握られていた。 脚を振り上げようにも、脚の甲の上にはゾロの膝が乗っかって動きを封じられている。 もがいてる間に、指で大きく広げられたアナルにぬるりと冷たい何かが入り込んできた。 「なに……んぅッ――!?」 それはどんどん直腸内に注ぎこまれて、冷たさと気持ち悪さに目を見開いてぶるぶる震える。 体を押さえつけながらゾロの厚い拳がぐしゃりと握りこまれて、チューブの中身が一気に搾り出された。 「ひッ!」 「ただの潤滑剤だ」 空になったチューブを床に放り投げると、ゾロの手がぐっと尻にかけられた。 暖かくて太いものが肉を割る感触があって、反射的に力を抜く。 「すげぇな…最初から2本も咥えてんぞ」 「…ぅあッ……」 感嘆するようなゾロの言葉に、カッと頬が染まった。 ずぶずぶとぬかるんだ腸内を進む指に、まだ体温になじんでいないゼリーがかき回される。 ぐちゃぐちゃと耳に届く水音は明らかにサンジの中から聞こえている。 つるつるとサンジの腸の内部を滑るように動いているゾロの指。 その感触に、サンジの前ははしたなく勃ち上がってあっという間に蜜を零し始めた。 「んッ…ふぅ、んっ…」 やわやわと性感を刺激され、サンジは頬を染めながら喘ぎを噛み殺す。 「抵抗しねぇってことは……自分が何したのか、わかってるってことだよな」 口を歪ませてゾロが低く笑う。 そしてサンジの中から指を引き抜くと、腹巻の中から何やら取り出した。 目の前に見せられたのは、3つのボール。 「……?」 ピンポン玉サイズのそれらはゴムボールのような質感で、1つは普通の丸いボール、1つは角の丸いキューブ型、そしてもう1つは大小長さの違う突起がびっしりついたボールだった。 「今日はこいつを入れてやるよ」 「なッ……」 驚きに目をみはるサンジの後孔に、つぷりとそれが差し入れられた。 1つめ、つるりとしたボールはそれでも狭い内壁を押し上げて、違和感とそして圧迫感にサンジは喘いだ。 2つめのボールは角が大きくて中々入らなかったが、ゾロの太い指によって嫌がるように窄まる穴が押し開かれ、無理やり詰め込まれた。 そして3つめ。襞をくぷくぷと押してとげとげのついたボールが、サンジのアナルに押し込まれていく。 「やめッ…んん――ッ!!」 首を振って逃れようともがくが、ゾロの手がそれを許すはずがない。 ちゅぷんッと音がして、抵抗もむなしく最後のボールがアナルに落とされた。 「ひぁッ!」 ゴロゴロと直腸を転がる3つのボールの感触。 「どうだ、気に入ったか」 続けて後ろに入れられたゾロの指が2本、ぐちゃぐちゃにそれらをかき回す。 ボールは互いにぶつかり合い、押し出され弾かれたものがバラバラに中をえぐった。 「いッ…あぁ、ヤ…ッ!」 痛いほど反り返ったサンジの性器が、身をよじるたびに首を振ってぽたぽたと先走りを零す。 その様子をゾロの目が食い入るように見つめている。 手の動きはやがて突き上げるように変わり、どんどん激しさをましていく。 真っ直ぐに注がれるその視線。 ドクン、とサンジの奥底が燃え上がるように熱くなった。 「あ…あ、あぁああッ!」 サンジは大きく背を反らせ、たまらず性器から白濁を吹き上げた。 飛び散ったものが、白いシャツと首筋を濡らして行く。 「ふ……ぁ…」 くたりと全身の力が抜けて、床にべたりと背を付く。 呆然と荒い呼吸を繰り返すサンジから手を離し、ゾロはテーブルに結わえていたバンダナを解いた。 握りこんでいた為に汗ばんでいた両手が持ち上げられるが、サンジは抗いもせずにただゾロに身を任せた。 あらかじめ用意してあったらしいロープで、今度は後手に縛り上げられる。 「……ッ…?」 次いで力をなくした性器にもゾロの手が伸び、そこにもロープを巻きつけられた。 自分の残滓がぬるりと擦れる感触に、ビクッと身をすくませる。 ゾロの目が、再び暗く光った。 そしてサンジを見下ろし、言い放つ。 「立て」 甲板を渡る風が腿にあたる。 何も身に付けていない下半身がスースーと冷たい。 夜目に誰もいないのはわかるが、それでも羞恥心が沸き起こってカァッと頬が熱くなる。 性器をひっぱらないように腰の後にぴたりと手をつけ、震えながら歩く様はさぞ滑稽だろう。 1歩を踏みしめるごとに腸の中に入れられた器具がゴロゴロと転がって、時折いいところをかすってはひッと声が出て足が止まる。 それでも悲鳴を飲み込んで、サンジは歩いた。 キッチンから甲板へ続く階段。その段差に脚を大きく出した途端に腸の中のものが激しく動いて、今度は息が止まった。 刺激しないように震える脚をそろそろと伸ばし、なんとか1段ずつ降りる。 ゾロは倉庫の入り口でそんなサンジを黙って見つめている。 くちゃくちゃと音が漏れ聞こえてくるような後孔。 ゾロの視線。 そしてそれら全てに煽られている自分。 恥かしさに、サンジはさらに目尻を紅く染めた。 それでも止まることも、逃げることも許されない。 ……これは自分が仕掛けたことなのだから。 サンジは崩れそうな体を引きずって、ゾロの元まで歩き続けた。 絶対こうなるだろうと、わかっていた。 酷い行為は全てゾロの執着心の深さゆえだと、勝手に受け取ってもいいのだろうか。 辿り付いたサンジを見て、ゾロはくるりと背を向けた。 その広い背中にすら、欲情する。 じわりと汗ばんだ体を。 熱く潤んだ目を。 今すぐ掻き抱いて、そして隅々まで舐めて食べ尽くしてくれればいいのにと。 サンジは熱い吐息をそっと漏らした。 そして、倉庫の扉が開かれる―――。 |