女神と阿呆   後編
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「ぁ……うぁ…っ」
 ベッドの上に仰向けになり、膝を立てたサンジが喘いでいる。
 女だけは蹴らないという信条は、未だに変わらずらしい。脚は縛られていないのだから本気を出せばいくらでも振りほどけるだろうに、お陰で先ほどから女にされるがままだ。
 開かれたサンジの脚の間、年長の女が伸ばした指の先からぐちゃぐちゃと水音が響いている。
 女の細い指が三本、根元まで入り込んでいるのはサンジの後孔。
 薄赤く色づいたそこは、きゅうきゅうときつく女の指を咥え込んで離さない。指が出入りする度に零れた粘液が、じっとりと尻の下のシーツを濡らしていく。
「ここがいいのね?」
「……っ」
 ふるふると言葉もなく首を振るサンジに向かって、女がぞくりとする笑顔をこぼした。
「嘘つくなんて、悪い子」
「っあ―――ッ!」
 突然息を詰まらせるように叫んだサンジが、びくびくと腰を浮かせた。
 尻の間、手のひらを上に向けた女の指が、同じ所を連打するように激しく踊っている。
「あらあら、よくもない所いくら引掻かれたって、全然感じないでしょう?」
「ひっ、ぅ……ちが、あ、イイ…ですッそこぉ…っ」
 がくがくと頷くサンジの腹に、とぷとぷと何度目かわからない液が飛んだ。段々勢いも量も少なくなってきたそれは、既にぬるぬるになっていた腹の上でくたりと横たわる。
 けれどそれは休む間もなく、再び女の手で大きく育てられるのだろう。
 
「ねェねェ、アナタのも舐めたいなァ」
 扱いは女に任せ、ベッドの端でサンジを肴に酒を呷っていたゾロの横に、最初にサンジを咥えた女が擦り寄ってきた。
 布越しにもわかる、大きくいきり立ったゾロのものを、濡れた目で見つめる女の喉が小さく鳴った。
「折角だが」
 ゾロは酒瓶をサイドテーブルに置くと、女の視線を解いて、喘ぐサンジの枕元に膝立ちになった。
 
「俺はコイツにしか許してねぇんだ」
 前立てを開き、飛び出した赤黒いものをゾロは真上からサンジの口元になすり付けた。
 血管が浮き出て凶悪なまでに育ったそれは、サンジの唇にぬらぬらと糸を引く。
「…、ぁ……っ」
 熱に浮かされた目で、サンジが条件反射のようにそれに舌を伸ばした。
 ゾロは背をかがめ、立て膝になっていたサンジの脚の膝裏を左右それぞれ抱えて、自らの方に引き倒した。そのまま上から縫いとめるように、膝裏をベッドに押し当てる。
「ふく、ぅ…ん」
 背を丸めて後孔を天井に向け、膝を自分の顔の脇につくような姿勢になったサンジが、苦しげに目を細めた。
 自然と口の奥まで入り込んだゾロのものに、歯を立てないように懸命に舌を這わせる。膨らんだ頬、時折見える舌先から唾液が溢れては零れる。
 
「体柔らかいのねぇ」
 口笛を吹くように、脚の間で女が楽しげに笑った。
 
「これなら全部飲んでくれそう」
 言うなり、絡み合わせた人差し指から薬指までの六本の先端を、ぐぷっとサンジの孔に突き込んだ。
「…ぁ、あぁッ!?」
「大丈夫よ、ゆっくり息吐いて……そう、いいこ」
 濡れてほどけたサンジの後孔に、女の指がぐねぐねと潜り込んでいく。
 ゾロのものを咥えたまま、サンジが熱い息を零す。小さく掠めた歯に、ゾロは笑った。
「こっちにも集中しろよ」
「…うく、…っん」
 伸ばされた舌先にぬるぬると自らを押し当ててやれば、苦しいのかはたまた快感なのか、青い目に小さく涙がにじんだ。
 ゾロの見下ろす前、上を向いて開かれたサンジの孔は真っ赤に熟れ、女の指がぬかるんだ音を立てながら出入りを繰り返している。
 
「んふ、あったかい」
 自らの汗をぺろりと舐めて、女が身を乗り出した。
 そして一気に、六本の指を根元まで捻じ込んだ。
「ん、あ゛――ッ!?」
 まるでそれに押し出されたように、サンジのものがぴしゃぴしゃと弾けた。
 ゾロのものを咥えた唇に、自らの体液が滴り落ちて絡む。
 何が起きたのかわかっていないような、放心したままのサンジが、条件反射のように自らのそれと合わせてゾロのものをちゅう、と吸った。
「…くそっ」
 不意に衝動が来て、ゾロは耐え切れずに小さく舌打ちすると、サンジの口の中に自らも吐き出した。
 
 
 
 
「今ので何回目かしら、もう随分出たわね。…そろそろ出番よアヤ」
「ハイ」
 片言の女がその言葉に頷くと、年長の女と場所を交代するようにサンジの脚の間に入ってきた。
「ちょっとこの子の体勢、もっかい起こしたいんだけどいい?」
「こうか」
 サンジの脚を離し、ぐったりと弛緩したままのその体を抱き起こすと、ゾロはベッドの上で自分に背中を凭れさせる形でサンジを座らせた。
 最初と同じ様に背後から腰を抱えてやる。
 開いた脚の間でサンジのものは、くたりと萎えている。それを間に座る女が両手で握った。
 
「いっぱい、オクまで、サワッテアゲルね」
 少しもつれる、舌足らずなしゃべり方。
 笑った女の開いた唇の間から、細長い舌がひゅるりと覗いた。
「あ?」
 目を凝らすゾロの前で、女がべぇっと舌を出してみせる。
 女の舌は足りないのではなかった。通常の舌の上に、更に細い舌がまるで蛇のように丸まって乗っている。
 爬虫類のような、不思議な形状だった。伸ばされた舌先は意のままに動かせるらしく、空中で波打つように細やかな動きをゾロに見せた。
 
「アヤは魚人とのハーフなのさ。見ての通り舌が凄い長くて…しかも巧いんだよ?そりゃもう、一回ハマっちまったら堪らないよ」
「へぇ」
「アヤ、彼の奥の奥、キモチイイとこまでたっぷり舐めてお掃除しておあげ」
「ハイ」
 アヤと呼ばれた女はこくんと頷くと、濡れそぼったサンジの先端に口を寄せた。
 まるでそっとキスでも落とすかのように、長い舌の先端が赤い肉に触れる。そして小さく開いた窪み中に、しゅるりと滑り込んだ。
 
「ひ!?」
 サンジの目が見開かれ、ガバリと跳ね起きる。
 括られたままの腕を掴んで、ゾロがサンジを押さえつけた。
「ぅあッ…な?!なに…ッ」
 感じた事のない衝撃なのだろう、脚を突っ張らせ、自分のものを握っている女に目をやる。
 女はサンジの目を見ると、にこりと笑った。
 
「そ、な……あァ!?」
 暴れるサンジの体を押さえ、ゾロも初めて見るその技をしげしげと見た。
「やめ、やめろ……ッ」
 半ば混乱したようにサンジが叫ぶ。
「暴れんな。その女がテメェの中に残ったいやらしい液、残らず舐めて掃除してくれるってよ」
「ひ……!」
 女の舌は根元までサンジのものの中に消えている。見えないが、きっと中で先ほど見せたような細かい動きをしているのだろう。
 証拠にサンジのものは再び赤く染まり、芯を持ってピンと立ち上がってきている。
 
「なァおい、そん中舐められるってなぁ、どんな感じだ。痛いのか?」
「わか、な……っ」
 切れ切れに言うサンジの耳元に歯を立てて遊びながら、ゾロは笑った。
「今お前の中で、そいつの舌はどんな動きしてるんだ?…教えろよ」
 ゾロの流し込んだ声にもひくりと震えて、サンジがかすれた声をだした。
 
「な、なか…っ、ぐるぐるって」
「尿道の中、ぐりぐり擦られてんのか?」
 がくがくとサンジが頷く。
「ざらざらしたのが…あぁ…舐めてるっ…なか、あ――」
 喉を反らせ、サンジが喘ぐ。
「はひ、は…、はァ……あ、ん」
「気持ちいいのかよ」
 段々と吐息の混じるようになってきたサンジに苦笑すれば、振り立てられた金髪がゾロの胸に散った。
 
「どんどん奥にくる…深、ふかいっ………ぅん…?」
 感じていたサンジの体が、不意に強張った。
「あ……?」
 驚きに目を開き、脚の間の女を見る。
「なに……ヤ、だめ……っ」
「?どうした」
 小さく震え始めたサンジの肩口から覗き込むゾロに、女がにこりと笑った。
 
「だめ、や…あ…!」
 焦ったように、サンジが激しく身をよじる。
「はな、離して…出、でちゃ…!」
 その声に、女が顔を思い切り引いた。つられるように一気に狭い穴から引き抜かれた舌が、ひゅるっと宙にひるがえる。
 
「やだ…ッああああああ!」
 抜かれた舌に引きずられるように、ぷしゃぁ!と勢いよく生暖かい液体がサンジの中から迸った。
 黄色い液体が、そのまま白いシーツに染みを作る。
 
「あ…あぁ…」
 恥ずかしさに息を詰まらせながらも、サンジはどこか放心したようにぐったりと四肢を投げ出した。
「へぇ」
 こういう感じさせ方もあるのかと感心しながら、ゾロはその体を抱えるとガチガチに熱くなっていた自らの剛直を、背後からサンジの中に突き入れた。
 
「あぁああああッ!?」 
 前を放出したせいで緩んでいた後孔は、先ほどまで散々弄られていたせいもあり、少々きついながらも一気にゾロの全てを飲み込んだ。
 
「うわァ、カレシひどォい」
 くすくすと脇で見ていた女が笑う。
「別に酷かねぇ。ほら、コイツも喜んでるだろ」
「ひ……ぁ…っ」
 後ろ手に両手を縛るロープを抑えてぬくぬくと突き上げてやれば、サンジから甘い声が零れた。
 
「あらほんとね」
「じゃあ私たちももっとォ」
「…カワイガル」
 
 にこ、とサンジがまともに見たら鼻血ものの笑顔で、女たちが笑った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
「そ、ろ、ダメ、…もうダメ……ッ」
 ひく、と喉を引きつらせながらサンジが切れ切れに繰り返している。
 もはや目線は虚ろで、全身が小刻みに震えっぱなしだ。
 ゾロの膝の上に跨った姿勢のまま、白い胸を突き出してむずがっている。
 
 何度も出された後孔はぬるぬると滑り、注ぎ込まれたゾロのものが体が上下する度に僅かな肉の隙間から漏れて太腿を濡らしていく。
 髭は汗ばみ顎鬚も唾液やら何やらで濡れそぼり、脚の脛毛も、もう全身が汗だか汁だかわからないものでぬらぬらと濡れてしまっている。
 白い肌が桃色に上気して身をくねらせる様は、壮絶だ。
 こんなエロイ生き物がよく二年間も無事でいたと心底思う。
 
「サンジくん、気持ちいい?」
「ぁ、あぁ……ッ」
 息も継げずびくびくと背を反らすサンジに、しっとりと自らも汗ばんだ女たちが指や口を蠢かす。
 一人は反らされた胸の尖りを両手で捏ねては赤く熟れさせ。
 一人は脚の間でもう感覚もないままに泣いているモノを爪弾き。
 一人はサンジの足の指の間を丹念に舐めしゃぶっている。
 
「答えてくれないって事はまだ足りないんだァ」
「や、やだ、っぅあ…」
 ひく、と震える喉は既に涙声だ。
 ゾロも既に数度、この熱い体内に放出している。だから内部に納めたままのそれは持ちのよいまま、硬度を保っている。
 
「おい、大好きな女が聞いてるぜ。答えてやらねぇのか」
「きもちいい?サンジくん」
「ぅあ……、い、きもち、いい…っ」
 最早どこがいいのかすら、わかっていないのだろう。
 女の問いに聞かれるままサンジは繰り返す。
「きもちいい…いいよぅ」
 
「おい、どこがイイんだ」
 ずるぅり、わざと内壁を擦りあげながら最奥に当たっていたものを抜き出してやると、まるでゾロを引き止めるように後孔の肉が緩く締まった。
 サンジが嫌だというように、ふるふると髪を乱す。
 それに小さく笑い、ゾロは耳たぶを舐めてやる。
「どこだよ、おい」
 サンジがうっすらと涙の滲んだ青い目で、ゾロを見た。
 眉が切なげに寄せられ、キスを強請るように顔が近づく。
 
「…ロ、ぞろがい……いいよぉ…っ」
「……ッ」
 引き込まれるままに唇を重ね、ゾロは熱い本流を再びサンジの中に放出した。
 
「ぁ……あぁ、…っ」
 絡めた舌の間から、うっとりとサンジが息を吐く。
 
 小さく笑って、ゾロは久しぶりの手触りを楽しむように、丸い頭をやわらかく撫でた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ちょっとゾロ、あんた何したのよ」
「あ?」
 サニー号。芝生に寝転んでいれば、何かが太陽を遮った。
 見上げれば、露出ギリギリな大きな胸が揺れている。漠然とデカイなぁと思っていると、ナミがイライラしたように足踏みをした。
「何ってなんだ」
「サンジくんよ」
 ナミははぁっと盛大にため息をついた。
「アンタと町から戻ってきてから、鼻血吹かなくなったのはいいけど今度は」
「今度はなんだ」
 
「私たちと視線が絡む度、真っ赤な顔して息乱しちゃって…なんか私が何かしたみたいな変な気分になって困るのよ」
「へぇ…」
 小さくゾロは口端を上げた。
「そいつはいい事聞いた。……で、アイツはどこ行った。まだそんなに時間経ってねぇんだろ」
「股間押さえてあちらの方へ。つい3分前くらいよ。何でわかるの」
「勘だ。いや匂いっつーのか?」
「ますます獣になったのね…」
 ナミが呆れたように肩を竦める。
「ほどほどに。夕食はちゃんと作って貰うんだからね」
「ああ、わかってる」
 
 そしてゾロはのそりと起き上がると、捕食者の顔で笑った。
 
 
 
 
 
 
 





* END! *



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10.11.27
 
 
 
お、オチなんてないんだからっ (脱兎)