おまけの着火マン |
星がひっそりと瞬く暗闇の下、静かに息を詰める見張り台。 クルーも寝静まった船の中で、かすかにすすり泣きのような声が漏れ聞こえている。 ポウ、とまるでホタルのようにゆっくりと点滅を繰り返すのは、小さな小さな火種の明かり。 「ひ……ッ」 震えた呼吸を漏らすたびに、ジジッと煙草の火が燃えてゆく。 見張り台の中、硬いマストに押し付けられた背と頭。 天に向けて開かされた両足を震わせながら、サンジは煙草を咥えた口元を引き締めた。 腰を丸めて下半身を上に向けた不自然な格好のせいで、時折木の床に擦り付けられる背骨が痛む。 暗闇でもはっきりとわかる、剥き出しの白い自分の脚。 その間で蠢くのは、ギラリと目を光らせたゾロだ。 「やッ、ゾロ、落ち――……ッ」 叫んだ途端、ぐうっと膝裏を深く押されて更に体を折り曲げられた。 局部をゾロの眼前に全て晒した、恥ずかしい格好。 そそり立つサンジの性器は、月明かりの下で淫猥にてらりとした糸を零している。 「煙草ばっか気にしてるんじゃねぇ。オラこっち見ろ」 サンジの性器をゆっくりと咥内から抜き出して、ゾロがニヤリと笑った。 「……ッ」 その仕草にすら、きゅうっと鼓動が跳ね上がる。 まるで期待するように、はしたなく性器がふるふると揺れる。 その先端を、ゾロは見せつけるように再びゆっくりと舐めあげた。 「あ……あ、ァッ…」 振り払おうと暴れたサンジの腕は早々にゾロの手によって後ろ手に戒められている。 ひっひっと苦しい呼吸を繰り返しながら、サンジは体を真っ赤に染めてゾロの口淫に耐えた。 先ほどゾロによって火をつけられた、誕生日最後の煙草。 それを咥えたままゾロに嬲られるサンジの体は、今やもっと熱い火が全身に点っているかのようだ。 「ひゥ、ん…ッ!」 ゾロが顔を揺らすたびに、くちゃり、ちゅぷりといやらしい音がする。 (な、なんで、こんなことに……!) 自分の脚の間で動く、サクサクとした緑頭。 今日一日、煙草をつけたいと言ったゾロ。不慣れだけど一生懸命な姿になんでかすげぇどきどきして、そんで俺の無心の時が欲しいっていわれて、それで。 酸欠のようにくらくらする視界の隅で、ジジッと燃え尽きた煙草の先端が灰になっていく。 長くなった灰は、小さな振動で今にもほろりと落ちそうだ。 いやそれどころか、ゾロの舌がサンジの気持ちいい部分を責める度に、開いた口から煙草自体が肌蹴たシャツから覗く自分の胸の上に落ちそうで。 こわくて、きもちよくて。 目の前のゾロ以外、なにも考えられなくなる。 「……ゾロ…――ッ!!」 ぐりっと強く擦り上げられた瞬間、ドクン!とサンジの前が弾けた。 懇願するように涙の滲んだ目で叫んだ拍子に、唇の端から煙草が滑り落ちる。 鎖骨のすぐ上に落ちていく灯り。 ちりっとした熱が肌を焼く――その前に、素早く伸びたゾロの手がその煙草を握り締めた。 「テメェの意識を奪う方法を見つけたぜ」 手の平を焼く煙草をものともせず、ゾロはくたりと力の抜けたサンジを見下ろした。 「ふ……ァ、ンん…ッ!?」 ぐっと頭を掴まれ合わせられた唇から移される、苦くて恥ずかしい香り。 頬を染めたサンジの前で、ゾロはぺろりと唇を舐めると不敵に笑った。 「……クソッ」 点けられた火は、当分消えそうにない。 サンジは唸ると、白い脚を片方伸ばしてゾロの首裏にひっかけた。 そして覚悟を決めると、火種をグイッと引き寄せた。 |
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