ちょうどこんなニュースがあったんですよね。
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「しかしテメェ、毎日飽きもせずよく来るなぁ」
 夕食の皿を片しながらサンジが溜息をつくと、缶ビール片手のゾロがあ?と目線を上げた。
 
 働きながら夜間の大学に通っているというゾロと、レストランで働くサンジの生活パターンはまるきり逆である。
 朝早く出て夜帰るサンジ。
 対してゾロは夕食後に大学へと出かけ、そのまま深夜の労働をして明け方家路につく。
 以前ひょんなことから腹を減らしたゾロに料理を食わせて、その味に惚れられてしまったのがきっかけだ。
 以来ゾロに請われるままちょこちょこ料理を作っていたのだが、なんだかんだでその手間も面倒になり、今ではゾロが毎日直接サンジのアパートに夕飯を食べにくるようにまでなった。
 
 強面なのにサンジの料理を頬張った途端ちょっと嬉しそうに笑う様を見ると、デカイ獣の餌付けに成功してしまったなぁと思う。
 かく言うサンジだってなんだかゾロの気質には惚れこむところがあり、律儀にも毎夜ドアの外に立ってサンジの帰りを待っていたゾロに、ついには部屋の合鍵まで渡してしまったほどだ。
 今じゃ狭い部屋には知らず持ち込んだり忘れていったりしたゾロの私物(服だったり教科書だったりCDだったり)が増えて、いちいち片付けるのも面倒になってからは部屋の一角に100均で買った洗濯籠を設置して『全部この中にまとめろ領域侵犯しやがったら蹴り壊すぞ』と言いつけてある。
 
「俺の帰り時間結構まちまちなのに、テメェ俺が夕方くらいに早く上がってきた時でももうここに転がって寝てやがったじゃねぇか」
「ああ」
 ゾロはすっかり専用になってしまったサンジ気に入りの座布団を、我が物顔で腕の下に敷いてゴロリと横になった。
 サンジが食器を洗う間、ゾロはよくそうしてサンジの後姿をぼんやり眺めていたりする。
 本来なら夕飯を食べたら直ぐに出かけているのだが、今日は土曜なので大学は休みらしい。
 
「ちゃんと家の掃除とかしてんのかよお前」
「いや、帰ってねぇし」
「は?」
 手を止めて振り返れば、どこのオヤジだと思わんばかりにくつろいだゾロが、不思議そうな顔でサンジを見上げた。
 
 
「だから俺、もう一ヶ月は家帰ってねぇし」
「……は?」
 
 
 えーと。
 このミドリはじゃあ何か。
 毎日早くこの部屋に通って来ていたんじゃなくて。
 毎日この部屋で寝食をともにしていた、と……。
 
 グワッとサンジの眉がつり上がった。
 
「…てんめぇ何アホな事やってやがんだ!!
 1ヶ月分のテメェんちの家賃や電気水道ガス基本料、勿体ねぇだろうがああぁぁぁッ!!」
 
 
「いや、そっちかよ!」





*おわり!*



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このゾロは当然サンジ狙いです。食われるのも時間の問題。
漫画喫茶に一ヶ月いつづけて気付かれなかった、っていうニュースをもとに。

06.07.13